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Friday Nov 19, 2021
平和経 第27話
Friday Nov 19, 2021
Friday Nov 19, 2021
7.真の平和世界
日付:一九九五年八月二十三日
場所:韓国、ソウル、ロッテ•ホテル
行事:第三回「世界平和会議」
尊敬する議長、尊敬する元、現職の国家元首ならびに紳士淑女の皆様。きょう私は、第三回「世界平和会議」の開幕の冒頭において、参加者の皆様に深い敬意を表しながら、世界平和に対する所信を披瀝できることを誠にうれしく思います。
中南米大陸に対する切なる忠告
今回の第三回「世界平和会議」は、過去のどの時よりも絶大な関心を呼び起こしています。皆様が、遠路はるばる旅行しながら、真の世界平和の働き手となることを希望して、このような盛大な会議を可能にしてくださったことに対して、衷心より感謝を捧げる次第です。
私は今年に入って、中南米大陸に神様のみ旨があることを知り、中南米二十三ヵ国を歴訪しながら、真の世界平和の模索に全力投球しました。私は行く国ごとにその国の主要人士たちと会い、私の所信を披瀝し、そのうち八ヵ国では、その国の大統領と単独会談をし、温かい友情の中で、世界平和について共に意気投合する貴重な機会をもちました。私はこの中南米の各国で「真の家庭と私」という題目で講演をしました。
私は、このように中南米大陸を東西南北に駆け巡る間に、多くの理想を描いてみました。中南米三十数ヵ国の国家社会が、真の平和を実現して理想国家を築くために、何をすべきか、どうあるべきかを考えてみたのです。
中南米大陸は、無限の潜在力をもっています。そこには無限の資源があります。そこには尽きることのない無限の人力があります。肥沃な平和の楽園、雄大な山と大自然、創造本然の汚染されていない美しい大自然!二十一世紀には必ず開花する、南米の全盛時代を夢に描いてみました。
このような無限の可能性を秘めた中南米大陸にお願いしたい切なる忠告があります。それは「先進諸国の前轍を踏んではならない!」という忠告です。現在、開発途上にある国々は、盲目的に開発された国々が犯した誤謬を犯してはならないということです。
私がなぜこのような忠告をしようと思ったのでしょうか。それは、既に開発された国々の前途が暗澹たるものであるのを見ているからであり、その先進諸国が、人類が心から願う幸福をもてずにいるからです。
二十一世紀は本然の世界へと帰っていく世紀
私はその標本としてアメリカを例に挙げようと思います。私は、アメリカを心から愛している者です。またこれまでの四半世紀を主にアメリカで過ごしながら、世界平和の土台をアメリカにつくろうと心血を注いできた者です。
私は、このアメリカを正しい方向へと導くために全力投球する中で、アメリカから迫害も受けてきました。しかし、アメリカを愛する心、世界平和のためにアメリカに期待する心は、今でも少しも変わりはありません。
一九六〇年代に私が初めてアメリカに行った時でも、世界中の人類は、アメリカのようになることを望みました。『大草原の小さな家』のような家族愛あふれる農村の家族、日曜日になると全国津々浦々から響き渡る讃美歌の声、正義の使徒スーパーマンは、正義というアメリカ精神を象徴するものであり、高層楼閣が立ち並ぶ都市の通りには、紙くず一つ見ることのないほどに秩序整然としており、美しかったのです。その当時、全世界はアメリカを羨望の目で見つめていました。
それから三十数年が過ぎた今日のアメリカはどうなったでしょうか。輝いていたアメリカは色あせてしまったのです。解決できない難問題が山積しています。その中でも、人間の道徳性の衰退と犯罪の増加は、注目に値するものになりました。殺人、麻薬、暴動、離婚、幼児虐待および誘拐、若年未婚者の妊娠など、アメリカから流れてくるニュースは、信じられないものがあまりに多くあります。これは、アメリカを愛する私の胸を痛めています。
現在、このような現象は、単にアメリカでのみ起きているのではありません。暮れていく二十世紀のあらゆる先進諸国は、今一様に悩みの中で苦しんでいます。その原因はどこにあるのでしょうか。その原因は、先進諸国がみな物質文明の極致を謳歌する中で、今ではその物質文明の罠にはまつてしまったことにあるのです。
物質が精神を支配し、心を支配していった結果、人間の心霊が物質の奴隷になってしまったのです。そして、その結果は真の愛の没落です。物質的に豊かであり、都市には高層の楼閣が立ち並んでいますが、人間の心は砂漠のように荒れ果て、そこでは真の愛のオアシスは見いだすことはできないので、人間の生活は殺伐この上ないものになったのです。そこには真の愛がないので、人間の利己主義ばかりが生い茂るようになりました。この利己主義の最大の被害者は美しい大自然です。
私はこの平和会議の一つの主題として、地球と人間の環境の回復に関する討議も含めましたが、私たちの自然環境は、今ではもう破壊されるだけ破壊され、水と空気は汚染されており、人類を保護してくれていたオゾン層まで破損されているのですから、このままいけば人類は、自ら構築した物質文明のために自滅を免れることができない境地にまで至るでしょう。
しかし、何と言っても物質文明が与えた極度の被害は、あらゆる国家社会の基礎となる家庭の破壊にあります。家庭は社会の細胞です。私たちの体の中にある数十兆の細胞一つ一つが健全であれば、その体は健全な体ですが、その細胞が破壊されれば、その体全体が弱くなり、結局はその体も破壊されるのです。
ですから、この地球上で真の家庭制度が破壊されていくことは、すなわち世界人類全体の破滅が遠くないことを意味するのです。今、私たちの社会は、本来神様が設計され、創造されたものとは正反対の道を走っているのです。
二十一世紀は、どちらにしろ神様が意図される創造本然の世界へと帰っていく世紀です。物質文明の時代は過ぎ去り、精神と心が主人となる精神文明の時が訪れるのです。その二十一世紀が今や五年後に迫ってきています。
このとき、開発途上にある国々は、開発国の前轍を踏まずに、先進国を教訓として物質文明の罠にはまることなく、心と精神が主人となる世界に直接突入してくれることを熱望しながら、私が絶叫したいと思っていた忠告の内容をお話ししました。
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