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Friday Jul 08, 2022
平和経 第270話
Friday Jul 08, 2022
Friday Jul 08, 2022
14.平和世界の主役になろう
日付:一九八四年十一月三日
場所:韓国、ソウル、リトル•エンジェルス芸術会館
行事:第一回原理研究会世界大学生総会(代読)
世界大学生総会のために、この場にお集まりになった内外の貴賓、そして各国の「大学原理研究会」の指導者、ならびに会員の皆様。きょうこの集会で皆様の活発で希望に満ちたお顔を直接拝見することが私の願いでしたが、やむを得ない事情によりそれがかなわず、実に残念に思います。たとえ私がこの制約された現実の中で、体は皆様とこの場を共にすることができないとしても、今回の期間は心情的に、また霊的に皆様と共にいますので、私たちは、あすの、より感動的な出会いを約束することにいたしましょう。
私の体はダンベリーの収容所にありますが、歴史と世界に向けた私の理想と実践は、いささかも揺らぐことなく進行しています。私を慰労しようと世界の至る所から多くの名士や碩学たちが来訪し、神様の経綸を聞いています。また最近、アメリカの既成キリスト教団の指導者たちの積極的な協助と反応は、私たち全員にとって大きな励みとなっています。
今回、第一回世界大学生総会を韓国で開催することになったことは、非常に貴重な意義をもっています。韓国は私の出生地であり、原理運動の発祥地であるばかりでなく、かつて私が深い祈祷生活によって霊界の秘境と深層をたどりつつ、血のにじむ闘争を通して神様の教えを「統一原理」として確立し、未来を設計しながら青春を捧げた所です。
世界各国の「原理研究会」の指導者、ならびに会員の皆様。これまでの皆様の労苦に称賛の意を表します。皆様は学問探究の道とともに、実践運動として神様のみ旨を立てる素晴らしい仕事をしています。皆様が大学のキャンパスや通りで、数多くの不義、不正、退廃に立ち向かい、闘って勝利してきた事実を私はよく知っております。ベルリンの壁を崩すための皆様の立派な行進、また日本とアメリカでは左翼勢力の威勢にも屈することなく、殉教者的な心情で闘って勝利したことなどは、「原理研究会」の歴史の金字塔であると言うことができるでしょう。
私が希望の中で見つめている「原理研究会」の運動が、既に世界七十ヵ国以上の国々に根を下ろして以来、いつしか三、四年の歳月が経過しました。このような基盤の上で、きょう開催する第一回原理研究会世界学生総会に、共産圏の国々で活動中の会員たちが参加できなかった点に、私たちは胸を痛めます。
私が「原理研究会」を創設した動機の一つは、大学生の若さと情熱にあります。皆様は、過去に依存して生きているのではなく、未来に対する果てしない希望の中で生きています。皆様は義を尊重し、真と美を憧憬しています。清純な若者の心は、天のみ旨が臨むのに最も適した土台をもっているのです。
私は、神様のみ旨に従い、善民完成の目標を立て、若い知性ある人たちを心情教育と天才教育による「愛天、愛人、愛国」の人格者として育成し、新しい歴史の主役にしようと思うのです。神様の究極的摂理が、特定の民族や文化や地域、そして教団的、または宗教的範囲に限られることがないようにするためには、進取的であり、開放的で未来指向的な若い世代がその牽引車とならなければなりません。これが、「大学原理研究会」に対して私が期待をかける、また一つの重要な側面です。
神様のみ旨が、神学的、または教理的な枠を越え、文化全般にわたって実現されるためには、まず新しい世代の文化伝承者としての大学生に伝えられなければならず、そこから学問的、理念的、実践的展開にまで至らなければならないのです。特に、大学街を重要な対象として、神様に敵対する赤化運動を進める、国際共産主義者たちの策略をよく知っている私は、世界の若者たちが偽りのものにこれ以上もてあそばれないことを切に願うようになり、ついに共産主義を克服する新しい理念と実践運動としての「大学原理研究会」を出発させることになったのです。これは日本の大学街では既に実験済みであり、世界各地の原理研究会が理論的対決によって大学生を先導し、また神様の愛を中心とした奉仕と実践の生活によって手本を示しているのです。
今日、世界の問題は共産主義問題だけではありません。産業革命と二回にわたる世界大戦を経ながら、人類は既存の宇宙観の没落を目の当たりにしてきましたが、現代の科学技術の躍進を消化する新しい宇宙観が提示されないまま、人類は、手のほどこしようのない価値観の混乱の中で漂流しているのです。ここで、このような渦に巻き込まれて傷つきやすい世界の若者たちに対して、神様は既に代案を立てられ、語りたい多くのみ言をもっていらっしゃいます。
神様と人間が願うものは、平和の世界、理想的な一つの世界です。平和な理想世界は、争いのない統一の世界です。ところが、全世界にわたって統一を模索する以前に、一国家の統一について先に模索されなければなりません。同様に、統一された国家がある前に、統一された氏族がなければならず、統一された氏族がある前に統一された理想的な家庭がなければならず、さらに統一された家庭がある前に、矛盾や葛藤のない理想的な個人がいなければなりません。
このように、個人から世界に至るまでの問題解決は、自体内の善悪二方向の相克的対立を克服することによってのみ可能なのです。この解決を成就するための歴史的な教えは、宗教を通して与えられてきたのであり、メシヤはこのような摂理の中心人物であり、標本なのです。真の平和世界が成し遂げられれば、その世界は永遠に存続するのであり、また超国家、超人種、超宗教的にならざるを得ないので、それは実に、全人類が一組の父母のもとにおける一つの兄弟姉妹の関係で結ばれた一つの大家族社会になるのです。
神様のみ旨と人類の念願がこのようなものであるにもかかわらず、今日の世界はどうでしょうか。人々は地球村や一つの世界について語りながらも、多元化と専門化の趨勢は、個人主義的で利己主義的な風潮をあおり立てており、個別化の現象はその極に達し、存在世界の連体的秩序まで大きく害しています。環境汚染と自然破壊は、地球全体を生態学的危機へと追い込んでいるかと思えば、その操作をコンピューターに任された戦争の武器により、今やその発明者である人間がその下で奴隷のようになって恐怖に震える、そのような状況を招いているのです。
宗教を中心とした既存の価値体系は、なぜ崩壊していったのでしょうか。それは、宗教自体が本来の任務を忘れたまま、分裂と紛争はやむ暇がなく、それゆえに現実に対する指導力を失ってしまったからです。既存の宗教が神様と人生と宇宙について明確に教えることができなかった結果、善と悪、義と不義の区別をはっきりさせることができず、特に、神様が存在するかどうかということに対する質問に、明快な答えを与えることができませんでした。宗教が無力化するやいなや、物質は、人間の前に手段ではなく目的と化し、享楽が当然なこととなり、人間性は肉欲と物欲によって麻痺し、動物化してしまいました。このような土壌の上には、真の愛や奉仕、そして義や神聖などの既存の価値観は引き続き存立することができないのです。
なおかつ、現代社会の組織化、大型化、機械化の傾向は、非人間化、または人間疎外の現象を加速化させ、個人の矮小(わいしょう)化、部品化の趨勢をあおり立てています。人間の創造本性が塞がれているこの状況と束縛の中で、人類を解放する新しい価値観の出現は、私たちすべての絶対的要求と言わざるを得ません。
新しい価値観は、現代の問題を消化し、現代人を説得できる新しい宗教に根源をおかなければなりません。神様が人類の父母であられることを教育し、宇宙の始原が物質ではないことを究明し、人間には霊性と人格があり、神様の相続者として宇宙を治める権限があることを明らかにしなければなりません。また、創造本然の愛の理想を確認させ、森羅万象が二重目的の連体になっており、宇宙の大秩序の中では調和のみが存在するようになっていた太初の理想を明らかにするなど、新しい価値観は、そのような役目を果たさなければなりません。
原理運動は天理の伝播運動であり、神様を証する大学生の実践運動です。理論の前提がないところに社会的意志が結集するはずはなく、これを具体化させる運動なくしては世界にその結実はあり得ません。私たちが推進している原理運動は、古く病んだ既存の文明を部分的に回復しようとするものではなく、その根源から新しい出発をしようという運動なのです。
皆様は神様が下さったところの個性真理体として、各自の品性を原理によって陶冶(とうや)し、烈火のような情熱と純潔な心で不義と悪を整理し、打破しなければなりません。皆様の体はたとえ堕落の世界に処しているとしても、原理とサタンの讒訴に皆さん自身をさらすことなく、天を突く意気で過去の悲哀を乗り越え、希望の実体となって、他の模範になりながら、あらゆる辛苦の中でも委縮することなく、希望に満ちた瞳で未来を見通さなければなりません。神様が皆様に対して求めるのは、皆様の特技や専門知識ではありません。神様は皆様御自身、すなわち皆様の心と志と精誠を求めていらっしゃるのです。
かつて私が死地においても希望を失わなかったのは、神様のみ旨と心情を常に実感していたからであり、世界と宇宙、人生と歴史が私の心中からひと時も離れたことがなかったからです。これは、肉身の疲労を感じる暇もありませんでした。歴史の大きな転換期が訪れるたびに、新しい文化を担当した勢力は若い層から現れたということは、わざわざ青年の釈迦や青年のイエス様の例を挙げなくても、私たちは、よく知っている事実です。私が統一運動のための公的生涯を出発したのも、二十代の中盤でした。
世界の若者たちを代表してここに集まった「大学原理研究会」の指導者、ならびに会員の皆様。私たちは、万人が共に願う新しい世界に向かう道の先鋒にならなければなりません。私たちは、神様の理想による平和世界を成し遂げる主役です。私の伝統を引き継いで、より一層前進しなければなりませんが、これは、世界的基盤を築いていく外的な面だけではなく、神様の心情世界と信仰の伝統を継承する内的なものまで含まれなければなりません。
皆様は、四十億の人類が乗った船の舵を取る航海士です。私たちの正しい姿勢と奉仕、犠牲の実践によって全人類に希望を与え、西暦二〇〇〇年代に向かう新時代の夜明けを開く新文化創建の旗手になりましょう。生きておられる神様の祝福と加護が、全世界の「原理研究会」の生命ある運動の上に共にあるでしょう。ありがとうございました。