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Wednesday Oct 05, 2022
平和経 第363話
Wednesday Oct 05, 2022
Wednesday Oct 05, 2022
10.二十一世紀における半島国家の役割
日付:一九九六年八月二十日
場所:韓国、ソウル、シェラトン•ウォーカーヒル•ホテル
行事:「世界平和半島国家連合」創設大会
尊敬する議長、全世界からお越しの貴賓、韓国各界の代表、ならびに紳士淑女の皆様。人類の福祉と平和世界の実現のための皆様の労苦に称賛の意を表します。また、私の祖国である韓国の地を訪ねてくださった皆様を歓迎いたします。二十一世紀まで四年を残した現時点において開催される今回の会議が、人類に平和世界に対する確実な希望を与えてくれる意義深い討論の場となることを願いながら、人類の究極的な理想と世界平和実現に対する私の考えを表明することにいたします。
私は、世界の主要強大諸国が、理念と資源をめぐる戦争を起こすことによって、多大な苦痛を受けた韓半島で育ちました。私は幼いときから人生と宇宙の根本的な疑問に対する答えを探そうと尽力してきました。生きておられる神様を体恤によって知り、また、その神様が歴史の中で人類と共に歩んでこられた真の愛の主人であられることを知りました。罪と矛盾と闘争に満ちあふれたこのような世界を、神様が計画し、創造したとは、私には信じられませんでした。
今ここで青少年期の経験を長々とお話しする時間はありません。ただ、私の青少年時代は、真理の探究のために没頭し、身もだえする生活だったことを申し上げておきたいと思います。私が究明した、統一教会の教理解説書である『原理講論』は、平凡に得られたものではありません。「原理」の根本は、胸の痛む祈祷の中で、イエス様をはじめとする霊界の聖賢たちとの交流はもちろんのこと、神様との深い交流によって探し出したものです。妨害するサタンとの血闘戦で得た勝利の結実です。私は、この「原理」の教育と実践によって人類を指導するために、緊張の中で生涯の一瞬一瞬を捧げています。「原理」は世界百八十四ヵ国に伝播され、人をして、生きた神様と生命ある関係を結ばせ、その人生を変化させています。
私たち人間は、神様によって創造されたので、神様と関連した夢と理想世界に向かうことを熱望する心をもって生まれました。いかなる悲惨な環境の中でも、人間は理想的な平和世界に向かう希望を捨てません。「理想世界」というときの「理想」とは、原因者であられる神様に由来したものです。神様は、権力や栄光、または富のために世界をお造りになったのではありません。神様には、権力、栄光、富に対する欲望はありません。絶対、唯一、不変、永遠であられ、万有の原因者であられる神様は、これらすべてを、既にもっておられるからです。
しかし、神様がいかなる欲望ももっておられないと考えるのは正しくありません。神様は真の愛の本体としていらっしゃいます。神様も愛を体恤されるためには相対が必要です。愛とは、主体と対象の関係、すなわち相対と関係を結んでこそ可能な経験であり、喜びだからです。いかなる存在も、一人孤立して愛を感じることはできないのです。神様も例外ではありません。神様の創造の動機は、真の愛とその対象である真の人です。神様は、御自身と自由に愛を与え合うことのできる存在として人間を創造されました。人間は神様の完全な愛の対象体として造られたのです。人間は、神様の息子と娘です。創造主である神様は、人間の真の父母であられます。
神様は、アダムとエバが真の愛を中心として純粋に成長し、真の人になることを願われました。神様は、彼らの外的で生物的な成長のための足場として、美しく繊細に準備した環境である万物世界を創造されました。このような環境の中で、人間は成長して大人になり、発展します。
神様は、人間の内的性稟と愛の人格に、より深い関心をもっていました。彼らは、真の愛の経験を通して神様の真の愛に似て完成するのです。愛の力は、内的で非物質的な力の中で最も強力なものとして創造されました。人間はそのような愛の力を、神様の愛と神様の法度の中で体恤することによって、父母であられる神様に似るのです。
人間が無限な真の愛の主人になるためには、責任性を遵守しなければなりません。人間は、真の愛によって神様と一体となって神様に似るとき、初めて愛の完成体、完全な人格を所有するようになるのです。神様の愛が、人間の幸福と生命と理想の源泉となる理由もここにあります。アダムとエバは、神様の真の愛の中で真の男性と真の女性となったのちに、互いが真の愛によって真の夫婦となり、その次に子女をもって真の父母となるようになっていました。
人間は、成長期間を通じて神様の真の愛を段階的に体得していきます。人間は生活の中で父母の愛を通して子女の心情を感じ、兄弟の愛を通して兄弟の心情を感じ、夫や妻の愛を通して夫婦の心情を感じ、子女を通して父母の心情を体恤するようになっているのです。この四つの愛と心情がとどまる基台が家庭です。
ですから、家庭は人間の愛と幸福と生命と血統の基地になるのです。家庭以外には、いかなる所でも四つの愛と心情を学び、体恤することはできません。愛は経験を通して感じ、知るものだからです。人間個々人や家庭、社会、国家や環境の完成は、家庭の中における真の愛の具現を根拠としています。
世界の現実はどうでしょうか。人類は、技術の発展によって生活が便利になったにもかかわらず、人間性を喪失するなど深刻な危機を迎えています。戦争と葛藤、暴力と犯罪、そして麻薬など、ありとあらゆる病弊が人類を不安にさせています。さらに深刻なことは、若者たちの性道徳が急激に崩れ、離婚率が急増し、幼い未婚の母の問題と家庭破壊が人類社会の根底を崩しています。
人々は、様々な面において平和と幸福を追求し続けてきましたが、満足できる成果を得ることはできませんでした。第一次、第二次世界大戦が終わり、戦争を防止するために創設された国際連盟と国際連合の二大機構が、全世界的な活動を展開してきたにもかかわらず、いまだに平和世界は訪れていません。
宗教団体の努力でも幸福な世界は実現しませんでした。また、国際共産主義の理想やファシズムの夢でも理想世界の実現は失敗しました。高度の技術も、政治的な努力も、人類に平和と幸福をもたらすことはできませんでした。これは、人間の不幸と苦痛の根源が、神様に背いた堕落に由来しているのに、その根源から問題を解こうとしなかったからです。
アダムとエバは、性関係を結ぶことによって神様の原理から離れるようになり、真の愛の中で自ら成長する前に子女をもつようになりました。アダムとエバは、神様を不信し、結果的にサタンに従って偽りの夫婦、偽りの父母となることによって、人類歴史が出発したのです。彼らの子孫が、神様の創造理想とは関係のない、罪と戦争と苦痛の中で生きることになるという結果を招来したのです。神様の心情は、どれほど悲しみに打ちひしがれたことでしょうか。
神様は何としても、本来計画された真の愛と平和の理想を回復されなければなりません。神様の救援摂理は、原状復帰の摂理、すなわち復帰摂理です。このような復帰摂理のために宗教を立てられ、善の版図を広げてこられました。
神様が送られるメシヤは、この復帰摂理を完結させる全責任を負って来られる方です。したがって、メシヤは真の父母として来られ、根本から正して回復しなければなりません。メシヤとして来られたイエス様は、真の父母の使命をもってこられました。彼は地上において、人類を真の愛で重生させ、真の人、真の夫婦として回復させ、真の父母となるようにするために来られたのです。不幸にも、彼は地上の不信によってみ旨を完全には果たすことができずに、逝かれながら再臨を約束されました。真の父母として再び来られ、神様の創造理想を完全に回復しなければならないからです。
イエス様はユダヤの地にお生まれになりましたが、ユダヤだけのためのイエス様ではありませんでした。メシヤであり、真の父母の立場で来られたイエス様のみ旨は、地上に神様の理想、すなわち真の愛の平和世界を実現することでした。当時、ユダヤはローマ帝国の属国でした。イエス様のみ旨がユダヤを基盤として成就され、さらにローマを経て世界まで成就されることを願われる神様の摂理があったのです。