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Sunday May 29, 2022
平和経 第220話
Sunday May 29, 2022
Sunday May 29, 2022
17.真の知識、真の家庭、そして世界平和
日付:一九九五年八月二十二日
場所:韓国ソウル、シェラトン•ウォーカーヒル•ホテル
行事:第二十回「科学の統一に関する国際会議」および第六回「世界平和教授アカデミー世界大会」
世界百二十ヵ国からお越しの学者、国内外の貴賓、そして紳士淑女の皆様。韓鶴子総裁と私は、韓国のソウルで皆様を歓迎することができ、大変うれしく思います。皆様は、今日、私たちの世界が抱えている最も深刻な問題を討議するためにここにお集まりになりました。
科学の発達と人類の危機
二十世紀は、科学の驚くべき発展によって生活条件が大きく発達した世紀です。しかし、その反面、世界的な紛争と道徳的混乱の世紀でもあります。科学知識と文明の発達は、人々に豊かな生活を享受できるようにした反面、自然と環境の破壊、地球の温暖化、大気中のオゾン層の破壊など、全地球的な問題が生じるようになりました。一方では、産業化と現代化の過程において、家庭が破壊され、麻薬とエイズが蔓延し、暴力、犯罪が頻発し、人間の内面における深刻な問題が人類の危機を予告しています。人々は、様々な面で平和と幸福を継続して追求してきましたが、満足のいく成果を得ることができませんでした。
第一次、第二次世界大戦が終わり、戦争を阻止するために結成された国際連盟と国際連合の両機構が展開してきた世界的な活動でも、平和の世界は訪れませんでした。宗教団体の努力によっても、幸福な世界は実現しませんでした。国際共産主義の理想とファシズムの夢でも、理想世界の実現は失敗しました。高度な技術によっても、政治的な努力によっても、人類に平和と幸福をもたらすことはできませんでした。
今も、世界の各地で悲惨な戦争が起こっています。ボスニア、チェチェン、ソマリア、そしてラオスなどの各地で紛争は続いています。平和と人間の幸福は、人々の道徳性と霊性の啓発にかかっています。平和な世界や平和な国も、その構成員個々人と家庭によって形成されるからです。科学と技術も善の人々によって活用されるとき、それは人類の生活向上のために義なるものとして使われるのです。
歴史を通しても聖賢や偉大なる師が、平和で幸福な世界のために、家庭、社会、国家の指導に身を捧げてきました。私たちは二十一世紀に挑戦するため、道徳的に、霊的に完璧な指導者を育てることのできる人類の真の父母、真の師、真の主人を必要としているのです。
神様は真の愛の本体であられるので、この世界と人間を、御自身の愛する実体対象であり、喜びの対象として創造されたというのが、私の確固たる信念です。神様は人間の父母であり、人間は神様の子女です。父母であられる神様は、人間の喜びや苦痛を共に感じるのです。神様は、子女である人間に真の愛を相続させてあげることを願っておられます。
神様の真の愛は、人間の幸福と喜びの源泉であり、人間はこの真の愛を体恤することによって完成するようになっています。愛は経験と生活を通して体恤できるのですが、人間の成長期間は、正に愛を段階的に体恤する貴重な期間です。
言い換えると人間は、成長期間を通して神様の愛を体恤するのですが、最初は子女の心情、二番目は兄弟の心情、三番目は夫婦の心情、四番目は父母の心情、このように四段階で体恤するのです。神様の愛が結実する最小単位が家庭です。したがって家庭は、人間の幸福と理想と生命の基台となるのです。私が生涯を通して家庭の大切さを教育し、理想家庭のための祝福行事を世界的に主導してきた理由も、ここに由来しています。
今日、世界は、人々が平和に共存し、すべての民族、文化、宗教を包括できる理想社会のモデルを必要としています。私は、今年三月と四月に「サンパウロ宣言」と「ニューホーブ•ファーム(新しい希望農場)宣言」を発表し、まずブラジルをはじめとする南米数ヵ国でモデル社会を建設し、徐々に様々な国に拡張していくことを促しました。
真の愛の共同体と共生共栄共義主義
現在、四十ヵ国の代表たちが集まり、このような社会を建設する作業に取り掛かっています。調和の取れた一つの社会は、その構成員間の生活水準が同等でなければなりません。このような共同繁栄は共同責任の土台の上で、愛によって自発的に進められなければなりません。理想社会では、いかなる不正や差別、さらに堕落も存在してはいけません。このすべては真の愛の実践が前提とされるときにのみ可能なのです。それは、民族や肌の色、伝統が異なる人々が、真の愛の共同体をつくる歴史的な運動なのです。
私たちの世界は、深刻な環境危機に直面しています。環境汚染と自然破壊は、神様が創造された美しく神聖な世界を冒瀆するのと同じことです。真の愛のない人は、自然世界を単に利己的に利用しようとばかり考えます。堕落がもたらした深刻な結果の一つは、アダムとエバが神様の真の愛を相続できなくなることによって、人々や動植物や地を正しく愛することができなくなったことです。万物は、人間の真の愛を待ち望んでいます。私は南米で、模範的な理想社会の建設と共に、人間が自然と正しい愛の関係を結ぶように、一つの模範を示そうとしています。
私はまた、飢餓のない世界をつくろうとしています。科学技術が発達した今日においても、いまだに飢餓によって数百万の人が犠牲になっている残忍な現象が起こっているのを傍観しているわけにはいきません。私は既に二十年以上も、数千万ドルを支援しながら、海洋産業を開発してきました。高蛋白質のフィッシュ•パウダー(魚粉)を開発し、「国際救護親善財団(IRFF)」を通してアフリカなどの地を支援しています。ブラジルとアルゼンチンなどの各地の農場で生産された食糧や農業収益を、世界の飢餓問題の解決のために投入するつもりでいます。
私は、共生、共栄、共義の社会建設を教えてきました。理想世界は、経済的には共生主義であり、政治的には共栄主義であり、そして倫理的には共義主義の社会です。共生主義とは、神様の真の愛を基盤とした共同所有をその中心内容とします。共生主義社会の基本となる典型は家庭です。単純な物質的所有だけではなく、神様の愛を基盤とした共同所有です。家庭におけるすべての財産は、たとえ法的には父母の名義になっていたとしても、実質的には父母と子女、すなわち全家族の共同所有となっています。それと同時に、家族の個々人は、各々部屋と衣類、そしてお小遣いをもつようになります。
このように、家庭においては、家族が共有を基盤として個人的な所有も認められ、全体目的と個体目的が調和するようになっています。このような愛が基盤となった家庭の理想的な所有形態が社会、国家、世界へと拡大されたものが、理想社会の所有形態です。

Friday May 27, 2022
平和経 第218話
Friday May 27, 2022
Friday May 27, 2022
15.絶対価値と現世の再評価
日付:一九九一年八月二十四日
場所:韓国、ソウル、シェラトン•ウォーカーヒル•ホテル
行事:第十八回「科学の統一に関する国際会議」
尊敬する議長と分科委員長、著名な学者ならびに紳士淑女の皆様。私の祖国である韓国で、皆様に再びお会いすることができ、大変うれしく思います。この韓国の地で皆様と共に「未来の世界文明」について議論してから、はや十年になります。そのとき私は、東アジアから始まり全世界を連結する国際平和高速道路プロジェクトを提案しました。また私たちは、皆様の学問的研究成果を出版し、全世界の新しい世代に肯定的な影響を与えることを目的とする計画にも着手しました。十年前は、このような計画が夢のように感じられましたが、今ではその輪郭が定まり、基台が既に造成されています。既に、日本と韓国をつなぐトンネルの基本設計図が作製され、試験トンネルが建設中です。
私たちは、皆様の論文や著作物を出版する「パラゴンハウス出版社」をもっており、雑誌「ワールド•アンド•アイ」を出版しています。昨年提唱し、皆様に案内状をお送りした、「世界平和連合」と「世界平和宗教連合」が、この度、皆様の立ち会いのもとに創設されるでしょう。
尊敬する世界の碩学の皆様。私たちは、再評価を要する転換期の現代世界で生きています。価値問題を重要視した私たちの会議のテーマは、以前には単なる予言的なものとしてしか捉えられなかったかもしれませんが、今日に至っては、所々で新しい価値に対する要求が起きており、現実の重要課題となっています。東ヨーロッパとソ連で起きた劇的な変革以後、さらに普遍的に、これを実感するようになりました。人々は、共産圏の没落以後、西欧社会の既存価値と体制の優秀性を語り、自負心をもっています。しかし、共産圏と対決した自由陣営を含む、その他の世界はどこへ向かっているのでしょうか。人類の幸福を保障する、希望的な前進をしていると思いますか。現世界のもつ問題点は、共産陣営の没落だけで解決されるのではなく、根源から原因を究明して解決しなければなりません。現代社会は、すべての体制と生活様式が根本的に再評価されなければならず、覚醒された人類の新しい心に適応することが求められています。
結論から言えば、今日の価値体系の混乱は、根源的に神様と人間との本然的な縦的秩序が崩れたことに由来します。正しい軸を失って横的に立てた人為的な秩序、すなわち世界の中の様々な体制と価値が、方向を失ったまま揺れ動き、ぶつかり合っているのです。
宇宙は、個々の物質だけを基盤として存在するのではありません。世界は孤立して、独立した個体の単純な集合体ではありません。物質は関係性を通して現れる一次的エネルギーによって存在しています。社会は、個体間の授受と相対関係の中で生存、繁栄、発展します。二つの物質の関係性の背後に、また二つの個体の授受関係の背後に、共同の動因と目的性を付与する高次元の縦的秩序が先に存在しています。例えば、人間には、神様と人間自身のために、至高な喜びと愛を感じることができるように自由が与えられています。人間がその存在目的を成し遂げるためには、まず神様の真の愛を相続しなければなりません。
人間生活の中で、ために生きる真の愛がすべての相対関係の基本ですが、これは父母の真の愛を動機として体恤するものです。神様の真の愛を根とした父母の真の愛によって、人間の個体は完成するようになります。完成した個体が、真の愛の理想的な夫婦となった家庭で、その子女に真の愛を伝授するのが、創造の秩序なのです。地上の理想世界は、完全な一人の人から、真の愛による家庭、社会、国家、世界へと拡大していくのです。現在の世界は、このような理想世界とは、その出発から異なっている世界です。人間が、神様の創造原則のうちで最も貴い真の愛の秩序から離れた、そのような堕落の結果が拡大して現れた世界です。神様の創造秩序を度外視したまま、人為的な組織形態や法則、秩序ばかりを重視する今の世界は、理想的な個人、家庭、そして民族を養成することはできません。人類の真の明るい未来は、何によって保障されるのでしょうか。
尊敬する碩学の皆様。皆様は自然界と社会の発展について、誰よりもよく御存じのはずです。私たちの自然と社会は、毎日、暴力と毀損が絶えません。私たちが普段、呼吸する空気、飲んでいる水、口にする食糧が、日増しに汚染されています。私たちの社会は、科学が発達し、生活が便利になっていくにもかかわらず、絶望的現象が加重されつつあります。二十一世紀の人間は、宇宙を創造した神様の根本原理を逸脱しては、これ以上地球星の主人として存在することはできないでしょう。人々が願わなかったとしても、人類の未来は、より密接な人間関係を求めています。将来、人々が地域と民族と肌の色の違いを超越し、より一層近く交わって生きていかざるを得ない「地球一家族時代」が近づいています。多様な宗教や伝統、文化、そして互いに異なる生活意識を、利害関係の次元を越えて、互いに調和して受け入れざるを得ない世界が近づいてきています。個人やある集団が、利己的な選択により自分だけの分別された逃避先を所有することはできなくなります。人間は、自然万物をこれ以上利己的な目的だけで強制的に占領することはできず、全体と後代のための、より大きな目的のもとに活用し、開発しなければなりません。
このように迫りくる新しい時代、新しい社会の基本秩序は何であり、その社会の主人はいかに養成されるべきでしょうか。それは、神様の創造の秩序、真の愛の秩序を基本軸としてこそ、その答えを得ることができます。
尊敬する世界の学者の皆様。生涯を捧げて、一貫して神様のみ旨を実践してきた私が、二十年間に十八回もの「科学の統一に関する国際会議」を続けて開催してきた理由を、そのような点から理解することができるでしょう。既に数十年前に、到来する未来社会を予見した私は、周囲の無理解の中にあっても、確信をもって、この大会のために物心両面の支援をしてきました。一九七二年、本大会が初めて開催された時から、通例を打破した構成で、自然科学者と人文•社会科学者を一つ所に招き、諸学問間の調和と統一を強調してきたのも、未来の人類のためにという一念によるものでした。
各学問の分野別の特性や研究の専門化は重要ではありますが、学問研究が相互に協力し合い、補完されなければならず、その研究成果が、善の目的を中心として統合され、活用されなければなりません。科学者たちにとってはさほど歓迎できない「絶対価値」を主題として価値問題を強調してきたことも、その理由からでした。今では、皆様を含む世界の多くの学者が、私の意向に共感し、協力して会議を組織し、研究を続けてきてくださっていることを有り難く思っています。
絶対価値を軸として、総合的な学問研究をする「科学の統一に関する国際会議」は、これから、その研究成果を積極的に教育し、実践しながら、人類の将来に寄与する段階へと飛躍しなければなりません。「科学の統一に関する国際会議」が産室となって、世界の九十数ヵ国に「世界平和教授アカデミー」が組織されたのも、文化世界を成し遂げる事業に、各地の学者たちを積極的に参加させるためです。
良心的な碩学たちの実践運動に、多くの人々が期待を集めています。社会において最も尊敬を受ける有識者たちが率先し、次世代の若者たちに正しい価値観と世界観を伝授することこそ、専攻分野の教授に劣らず重要なことであると思います。既に、韓国と日本で実施して良い成果を上げたように、世界の学者たちがチームを構成し、各国を歴訪しながら幅広く指導することも重要です。現代人、特に若者たちを、麻薬と享楽、暴力と戦争の罠から保護し、彼らにビジョンを植え付ける運動に、学者たちの全世界的な参加が求められています。私は、「科学の統一に関する会議」を母体とした皆様の創意的な実践が、新しい文化世界を創建することを確信しています。
最後に、私の祖国で開催される今回の大会で、多くの有益な討議が行われ、良い結論が導き出されることを期待する次第です。私は、韓国が受難の歴史の中でも、家庭の伝統をはじめとする美しい文化遺産を守ってきたことを誇らしく思います。また、連続した戦禍の中から急速な繁栄を成し遂げた韓国経済の基盤にも感心しています。皆様がこの国に滞在される間、韓国を訪問した価値を感じていただければ幸いです。神様の御加護が共にあることを祈りながら、私の話を終えたいと思います。ありがとうございました。

Friday May 27, 2022
平和経 第217話
Friday May 27, 2022
Friday May 27, 2022
14.絶対価値と現代社会の再評価
日付:一九八七年十一月二十七日
場所:アメリカ、アトランタ、ストーファー・ウェーバリー・ホテル
行事:第十六回「科学の統一に関する国際会議」
尊敬する議長団、分科委員長団、著名な教授の方々、そして紳士淑女の皆様。私は、「科学の統一に関する国際会議」の提唱者として、このように第十六回「科学の統一に関する国際会議」に参加してくださった皆様を、心から歓迎いたします。今年の会議のテーマは「絶対価値と現代社会の再評価」です。
現代社会の再評価が必要な理由
今日、世界は、各分野に対する再評価が切実に求められています。このような再評価を行うに当たって、知識のすべての分野を代表し、またすべての文化、宗教、人種、および国家を代表する碩学たちの集まりである「科学の統一に関する国際会議」のような優れた評価団体を、私はほかに知りません。
世界のあらゆる学術自体の中で、「科学の統一に関する国際会議」のみが、科学の真の目的と統一性を発見しようと根本的に努力していると思います。今日の世界のあらゆる学者の集まりの中でも、「科学の統一に関する国際会議」は歴史的な使命をもっていることを、皆様に知っていただきたいと思います。世界が抱える複雑な問題は、学問の個別分野の偏狭な視野からだけでは十分に理解することができません。
現代世界に対する適切な再評価は、個別的な専門学会の能力の範囲をはるかに超えています。それは、世界の問題は、根本的に人間の問題だからです。人間は、物質的欲求の感性をもつ肉身と霊的欲求の感性をもつ霊人体をもっています。
正にそのような二重構造をもつ人間たちが、一定の秩序のもとで相関関係を形成したものが、国家社会であり、世界なのです。世界の問題の解決のための学問の共同研究に、宗教、文化、芸術などの要因が大きく関与しなければならない理由も、ここにあると言えます。
今日、私は、「科学の統一に関する国際会議」で、現代世界を再評価することは、結局、現存する東西の両陣営とその体制について再評価すると同時に、科学の両体制における役割がどのようなものであり、またそれが科学の究極的目標にどれほど近い立場で影響力を行使したのか、ということも再評価しなければならないと思います。
そして、今日、東西の両陣営の指導者たちがいかに弁明しようとも、既存の体制や秩序が、人類の真の幸福を保障することに対しては、既にその限界をあらわにしており、現存の世界自体が没落しつつあるという事実は否定できないのです。
世界の再評価のための統一的な標準とその中心点
「科学の統一に関する国際会議」が今日の世界を再評価するためには、統一的な基準とその中心点がなければなりません。その中心点は、人間の肉身と霊人体との二重的な欲望を共に関連づけなければなりません。中世の神本主義思想と宗教的独断論が、科学的探究を阻害し、肉体的充足を制限したと私は認識しています。
しかし、啓蒙思想の時代から、人本主義の思想家たちが「宗教的信仰は人間の理性よりも劣るだけではなく、人間の霊性の要求は人間の理性と相反する」と主張してきたことも、大きな誤りでした。
啓蒙主義や人本主義が合理性を強調したことは、科学者が自然界の合理的法則を探求する、大きな推進力として働いてきました。しかし、理性だけでは、二重構造をもつ人間の究極的目的から離れていき、独自的に立つことができず、正しい方向を立てることさえもできません。
人間の霊性を無視し、理性と知的成果に満足しているうちに、人類は自己の究極的目的に関連した先決問題を検討せずに放置してきました。その結果、人間は唯物主義と物本主義に陥り、基本的な人間の尊厳性までも喪失してしまいました。
真理は一つであり、それは自然と人間世界を治める一つの原理です。自然におけるこの原理は宇宙万物万象の根源です。人間においてこの原理は、その霊性と肉性の調和を通して人格を完成し、美、真、善を実現するように導く真の愛の絶対的価値なのです。
私は、今日までの神本主義や人本主義、そして物本主義のそれぞれの主張の対立を、互いに和解できない価値同士の争いとしか見ていないというわけではありません。むしろ、それぞれが一つの原理、つまり絶対的価値についての、未完成で一面的な表現であり、不完全な主張だと見ています。人間と現実世界の諸問題を根本的に解決するためには、既存の主義や主張を超越し、全体を収拾できる絶対価値である一つの原理を見いださなければなりません。
絶対的価値は究極的に、神様についての根本的な問いにたどり着きます。神様が実在することを受け入れることは、自然界と人間世界に恒久的に作用する一つの普遍的原理の存在を認めることになるのです。そのような土台の上で相対的なものとして現れる様々な価値は、絶対価値の基盤の上に、相互に密接な関係があるものとして理解し得るのです。
神様の愛に土台を置く絶対価値
絶対価値は、今日の学者の間では人気のあるテーマではないことを、私は知っています。まずは絶対価値と絶対主義とを混同する過ちを犯さないでください。
私は「科学の統一に関する国際会議」で、数回にわたって絶対価値とは神様の愛に土台を置いたものであると強調してきました。神様の愛は党派的なものではありません。神様の愛は、人間の本性の奥深いところにある心情にあり、その生活の中に真の愛を噴出させる根となっています。
ですから、神様の愛は、万人が一つの心情的同化圏をつくる根本要素となり、すべての相対的な価値を包括、受容します。ですから、神様の愛に基づいた絶対価値は、一連の理性的な前提、あるいは相対的な主義や信念に基づいた価値よりも、深く、広く、また恒久的なのです。
絶対価値は、合理的思考と矛盾するものではなく、むしろ背後にあるその究極的な目的を再発見させてくれるのです。私たちを人間たらしめるのは、何も理性だけではありません。知的分析が、情緒や意志、そして霊性までも十分に評価しなければ、欠陥だらけになります。理性的探究は、それが真の愛に基づいた絶対価値によって導かれるときに、初めて人間の真の幸福に貢献するようになるのです。
私は、「科学の統一に関する国際会議」が、今日の世界に対する包括的な再評価を始めることを要請いたします。因習的な心や姿勢は、現実の山積した諸問題を扱うには不十分でした。
現代社会が直面する問題の収拾は、人間の事情だけでは解決できません。さらに、人類歴史に対してこられた神様のみ旨が成就しなければなりません。したがって、神様の愛に根を置いた超国家、超主義、超世界的な絶対価値に立脚して、現代社会は再評価されなければならないのです。
ただ一つの絶対価値を発見してこそ学問の統一は可能
そして、今日の知識人たちが相対主義的観点に支配されている限り、科学の統一や、人種間、文化間、宗教間における和合統一も、決して実現できないのです。したがって、ただ一つの絶対価値観のために、自ら進んで危険を顧みず、激しい迫害に耐えることのできる勇気ある先駆者が必要です。言い換えれば、数多くの既存の部分的観点が、一つの一貫した原理の中に編入されていくためには、困難を克服すると同時に大胆な決断が必要なのです。
私たちは、今日の科学と哲学が世界の問題を解決するのに、しばしば失敗してきたことを認めなければなりません。自然科学がしてきた偉大な約束は、悪の方向に利用されることが多く、人類の真の幸福のためだけに利用されたわけではありません。
社会科学の分野も、利己的で党派的な政権の影響のもとで、あまりにも腐敗し、多くの場合に本来の目的から外れて機能してきました。哲学もまた、善や人間の究極的理想を目指した偉大な探究を放棄したまま、命を失った学問となってしまっています。そのような傾向は、学者たちの無気力と消極的な態度によって、ますます深刻になりつつあります。
学者たちは、自らの研究の業績だけで満足するべきではなく、積極的な指導を必要とする世界の要請に応えなければならないと私は思います。世界は、正しい価値観によって主体的力量を行使する学者たちの責任ある実践を求めています。そして、自覚した有識者たちによって、学問の研究成果が誤用されることを防がなければなりません。さらに学問の業績は、部分的、相対的価値にするのではなく、宇宙と人類全体のための絶対価値にかなったものにしなければならないのです。
急がれる「絶対価値と学問の統一性」に関する論議
学者たちは、政治、経済、社会などの潮流に押し流されるのではなく、歴史的な眼識と使命感をもって全体を教え導く、積極的な役割を発揮しなければなりません。現代社会は、いつの時よりも、超国家的、超人種的な協力を通してのみ解決する問題を山のように抱えています。国際化し、多元化した社会においては、特殊分野の個別的研究成果に劣らず、行動する多くの有識者たちが調和、協力しながら実践することが貴いと言えるでしょう。
世界の多くの学術会議の中で、「科学の統一に関する国際会議」のみが「絶対価値と学問の統一性」という究極的な問題をテーマとしています。これ以上に切迫した問題はありません。一つの絶対価値を発見することができなければ、学問の統一性という問題の解決は不可能です。私はこの使命を皆様に託しました。
この集まりが現代社会を正しく評価し、新文化創建の門を開く、歴史的な課業が果たされることを願います。神様の祝福が皆様の仕事と皆様の御家庭に共にあることをお祈りいたします。

Friday May 27, 2022
平和経 第216話
Friday May 27, 2022
Friday May 27, 2022
13.真の愛と統一世界
日付:一九八六年十一月二十七日
場所:アメリカ、ワシントンDC、マリオット•ホテル
行事:第十五回「科学の統一に関する国際会議」
敬愛する議長と議長団、著名な教授、ならびに紳士淑女の皆様。御多忙中にもかかわらず、このたび第十五回「科学の統一に関する国際会議」に御参加いただき、心から感謝の意を表する次第です。
この時間、私は「真の愛と統一世界」と題してお話ししようと思います。今日の世界における混乱は、その根本を突き詰めると唯心論と唯物論の対立、善側と悪側の対立であり、また善神と悪神との対決であるとも考えることができます。
人類の願いは平和ですが、平和は統一によってのみ成し遂げられます。統一には、世界の統一だけではなく、国家の統一、家庭の統一、個人の統一もありますが、これらのうち、最も基本となるのは個人の統一です。そのような統一運動において、今日、レバレンド•ムーンは、名実共に現実社会では欠かせない人物となりました。
神様の願われる平和の世界を実現するためには、第一に、統一運動は、思想界で頂上の位置に立たなければなりません。既存の哲学思想だけではなく、宗教思想とも闘って勝利しなければなりません。第二に、統一運動は、科学技術の分野において最先端の位置に立つと同時に、科学技術を平準化させなければなりません。今日まで、先端を行くアメリカは南米を従属させ、ヨーロッパはアフリカを従属させてきましたが、この弊害をなくすためには、科学技術の平準化が必要です。第三に、経済問題です。今日、世界は国際金融危機に直面しています。これを調整する道は、世界の数多くの財閥が株主となって超国家的な銀行を設立することです。第四に、言論界においても頂上に上がらなければなりません。現在、「ワシントン•タイムズ」を基盤として、アメリカの千七百五十以上の新聞の頂上に上がりつつあります。これにより、情報分野を席巻することができます。現在のリベラルな「ニューヨーク•タイムズ」と「ワシントン•ポスト」を凌駕し、アメリカのみならず、世界中から重要な情報を続々と入手し、世界を指導しなければなりません。
しかし、いくら思想、科学、技術、経済、言論、情報分野などで頂上を極めたとしても、なおも問題が残っているのです。その問題とは、国家と民族を越えることができる人をいかにつくるかということです。自分の祖国を中心とした人が責任をもつようになれば、アメリカ人ならアメリカ人に一元化しようとし、イギリス人はイギリス人に一元化しようとし、フランス人はフランス人に一元化しようとするでしょう。したがって、世界的な平和統一を構想する前に、このような民族性をいかに克服するのかが問題です。
世界の半分を赤化した共産主義でさえ、それ自体の国家や民族を抜け出すことができず、「民族的共産主義」に転落してしまいました。二十世紀の後半から、ほとんどの人たちは、神様の存在有無の問題に対し、「神はいない」というヒユーマニズムに傾き、物質万能主義となり、世界の半分が物本主義である共産主義の手に落ちてしまいました。神様を見いだすべき哲学は、神様を探し求める中で失敗し、神様と共に生きるべき宗教は、神様を失い、無気力になってしまいました。
世界統一に当たり、問題は人間です。世界を統一する前に家庭統一、家庭統一の前に人の統一がなければなりません。人の統一とは、個人の統一のことをいい、心と体を統一することです。個人が苦しめば家庭も苦しみ、家庭が苦しめば国家も苦しみ、国家が苦しめば世界が苦しみます。ですから結局のところ、一人の真の人間を見いださなければなりません。世界と宇宙がために生き、神様が信頼できるような真の人間を探し求めなければなりません。
人間は変わらないものを好みます。ですから、宝石を好むのです。ダイヤモンドの硬さ、金の輝き、真珠の優雅な色合いなどは、常に不変なものだからです。人においても、変わらない人が貴いのです。そのような人が真の人間です。したがって、誰しもが、変わらない夫、変わらない父母、変わらない師、変わらない主権者、変わらない国を願うのです。
今日、多くの人々は神様が明確には分かりません。それは個人において、心と体が闘っているからです。へーゲル左派の流れをくむ人は、宇宙の根本法則を矛盾として捉え、「神はいない」という闘争理論がより一層確固たるものとなってしまいました。しかし、いくら神様を知らない人でも、「人間は何かが間違っているのではないか」と考え始めれば、「神はいるかもしれない」という論理も立てられるようになるのです。そのようにして、宗教でいう堕落や救いなどといった概念を通して、神様を発見できるようになるのです。
公的なものと私的なものとのうち、公的なものとは全体のためのものであり、私的なものとは自己のためのものです。皆様が御自身のことを静かに反省すると、自分が公的なものと私的なものとの狭間にいることに気づくでしょう。ですから、宗教は、自己を中心として進んでいこうとする体の欲望を主管するために、「断食せよ、苦行せよ、柔和、謙遜であれ」と教えるのです。
神様は明らかに存在します。真の人間とは神様に似た人のことです。そのような真の人間が暮らす世界を実現しようとすれば、人間革命ではなく、人格革命を起こさなければなりません。神様の神格に似ることが人格革命です。神格と同等になり得る基準まで至るようにするのが人格革命です。神様は、知識も、お金も、権力も必要ありません。
聖書のヨハネによる福音書第三章十六節に「神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった」とあります。これは、ある特定の教派だけのために、神様はひとり子を遣わされたのではないということを意味します。全人類を愛しておられるがゆえに、イエス様を遣わされたのです。ですから、神様は、死に至るまで世界を愛するそのような子女を願っておられるのです。神様が最も喜ばれるのは愛の文化です。神様が人間に願われているのは、お金持ちになることでも、学者になることでもありません。愛する人になってほしいと願われているのです。聖書には、「敵を愛しなさい」、「隣人を愛しなさい」、「信仰、希望、愛のうちで最も大いなるものは愛である」など、愛に関する教訓がたくさんあります。妻は夫を、弟子は師を、国民はその国を心から愛しているでしょうか。
皆様。男性にとって最も貴い存在は何か御存じでしょうか。それは正に女性です。同じように、女性にとって最も貴い存在は男性です。人間が生まれた目的は、男性は女性のために、女性は男性のために生きることなのです。男性と女性は、お互いのために生きることを目的として生まれたのです。身体の骨格や愛の器官が、そのようになっています。このような事実を皆様がはっきりと知ったならば、皆様は百科事典よりも貴い真理に精通したことになります。知恵の偉大な王である神様は、愛の器官を互いに取り替えてもつように創造されました。
ですから、自分のもつ愛の器官の主人は、自分ではなく、愛する相対なのです。したがって、愛は相対からくるものです。これを知らず、愛の器官をいい加減に使う夫や妻は、審判を受けなければなりません。夫婦がこの事実を悟って仲むつまじく暮らすならば、そこから孝子、孝女が生まれ、それが成長すれば、忠臣と烈女になり、聖人と聖女になり、神様の子女である聖子となるでしょう。夫婦間に互いに相対的な横的愛を見いだせないならば、神様の縦的愛を見いだす道はありません。もし人間が堕落していなければ、天国は家庭から始まるようになっていました。家庭を拡大したものが、世界の人類だからです。ですから、家庭は、天国に入るための愛の修練所なのです。
神様の愛を所有する人だけが、天と地の権勢を相続できる特権を得るのです。生命が先か、愛が先かというとき、愛が先です。愛は宇宙の第一存在であり、生命は愛から生まれた第二存在です。家庭でも父母の愛によって子女が生まれます。ですから、子女は、父母の愛に同参した立場で生命を受け継ぐことのできる特権をもつようになるのです。愛の関係を結べば、対等な立場である同位(一緒に参加すること)圏に立つことができます。神様は、愛の相対として人間を創造するとき、御自身が人間のために生きる、そのような立場で創造されたのです。ですから、人間も神様を手本として他のために存在するようになっていたのですが、堕落によって、自分だけのために生きる人間になってしまったのです。愛は相対から来るものなので、「ために生きよ!」という哲理が生じたのです。
今日の人間社会は腐敗し、多くの哲学は自己を中心としています。そのような哲学を一掃するのは、ただ神様の愛、真の愛のみです。真の愛は、ために生きる愛であり、いくら与えても、すべて忘れてしまうのです。神様の愛と関係を結べば、主管性、独立権、相続権をもつ特権が与えられます。神様の対象圏を確定し、愛が不変であることを悟るようになるとき、人間の愛を中心として永生の倫理を妥当化させることができます。
神様は、そのような対象圏を求めてさまよう哀れなお方です。神様は、アメリカにいる数多くの聖職者を差し置いて、獄中にいる私を愛の対象者と思って訪ねてこられ、ニカラグアにおける事態の収拾を命令されました。韓国の南北統一をはじめとした世界統一は、軍事力では決して達成できません。それは怨讐の国までも愛する神様の愛によってこそ可能なのです。
私は今日までこのことを実践してきました。第二次世界大戦の時に敵同士だった韓国と日本、日本とアメリカ、アメリカとドイツのそれぞれの国の人たちが互いに愛し合うように、愛の道を実践させています。怨讐の国の人々を自国の人々よりも愛する伝統を立てなければ、世界の統一は実現しません。怨讐の国を自国以上に愛することができるのは、ただ神様の愛だけです。
世界の統一を果たすには、その前に国家の統一、そして家庭の統一が先に果たされなければならず、家庭の統一が果たされる前に、個人の統一が果たされなければなりません。個人の統一とは、愛による心と体の統一のことであり、この個人統一の土台の上に、愛による夫婦の統一が果たされ、家庭統一、国家統一、世界統一へとつながっていくのです。それが新文化世界を実現する唯一の道です。
したがって、ここに参加してくださった多くの教授の皆様も、心と体が一つになるように努力なさると同時に、夫婦が互いに愛し合い、統一世界、新文化世界の建設に寄与してくださることを願ってやみません。終わりに、今回の大会におきましても大きな成果が上がることを心から願いながら、これで私のお話を終わりにしようと思います。ありがとうございました。

Friday May 27, 2022
平和経 第215話
Friday May 27, 2022
Friday May 27, 2022
神様の真理と愛を中心とした新文化の創造
私は「科学の統一に関する国際会議」が出発する以前から、善と希望に満ちた未来社会を築くに当たって、学者たちが決定的な役割を果たすべきであるという信念をもっていました。過去十数年間の「科学の統一に関する国際会議」に対する私の支援と情熱は、世界の諸問題を解決するための学者の方々の潜在力に対する尊敬と期待から生まれ出たものです。そのような潜在力が、「科学の統一に関する国際会議」を通して啓発、結集され、責任感のある学者たちが新文化革命の実現に積極的に貢献されることを願うのです。
「科学の統一に関する国際会議」は、今回で十四回目を迎えました。統一教会では、七数は三数とともに完成の意味をもつ重要な数です。そして、十四数は七数の二倍です。これまで「科学の統一に関する国際会議」は、学問(科学)の研究を、「絶対価値の発見とその実現」と結びつけることに没頭してきました。さらに「科学の統一に関する国際会議」は、知識の統合、すなわち、学問の各分野間の協同および統合的アプローチのためにも力を注いできました。絶対価値の基準は、すなわち絶対愛の主体である神様であり、また絶対価値を軸として立てない限り、学問の統合的アプローチは不可能です。今や多くの人々が、絶対価値の必要性を認めるようになりました。今まで議長団ならびに準備委員の皆様が、無理解の中でも開拓者の道を歩んでこられたことに対して、私は有り難く思っています。
これから、「科学の統一に関する国際会議」はどこへ向かって行くべきでしょうか。毎年恒例の行事として集まって討議するだけで満足できるのでしょうか。私が近年になって新文化革命を強調してきた内容をもって、これにお答えしようと思います。今日、人類は悪からの、最も本質的かつ深刻な挑戦に直面しており、人類の本然の理想と幸福を実現する潜在力や素質が根本から破壊される、そのような危機に処していると思います。
「科学の統一に関する国際会議」の皆様は、新文化世界の創造を必ず成就すべきその大業に積極的に乗り出さなければなりません。絶対価値の探求は、探求自体で終わってはいけません。真理は永遠の方向性を内包しており、絶対価値を中心とした理想世界は必ず実現されなければなりません。そのためには、私たちの信念に基づく決行と現実の困難を跳び越える跳躍がなければなりません。
今日の世界は変わらなければなりません。神様の真理と愛を中心とした新文化革命を目指して、学者たちは責任をもって先頭に立たなければならない時です。新文化革命とは、人類と被造世界のための、神様の理想を指向しなければなりません。この理想を実現しようとすれば、私たちは各自が、知識の実現ではなく、真の愛の絶対価値の実現において責任を果たさなければなりません。
人類は今や飛躍しなければならないのです。人間が感じる現実の限界状況を根本的に克服するような新しい次元の文化的創造行為が求められています。人間の本性の深い所で感じられる神様の期待や、激動する歴史の背景にある神様の摂理と何の関係もなしに、人間自らの理性的能力によって自己完成と世界完成が可能であるという幻想と傲慢さから目覚めなければなりません。私たちは、人間の限界を謙虚に認め、神様の摂理によって到来した歴史的契機を見失ってはならず、跳躍によって神人合一の理想を成就しなければなりません。人間のための神様の創造理想でしたが、その理想は、神様の総合的な配慮の上に人間が応答することによって成就されるというのは、当然の帰結なのです。
絶対価値を実践する勇士となろう
尊敬する学者の皆様。私は神様のみ旨に対する人間の応答、すなわち人間の責任分担を全うするために、生涯を捧げてきました。それがいくら険しい開拓の道だったとしても、避けていこうとはしませんでした。例えば、私はニュースと情報の既存の報道姿勢と体制に対して代案を準備することを決心しました。私は報道機関が大衆に正しい情報や間違った情報を伝える過程を深刻に観察してきました。多くの方々も御存じのように、私は経験を通して、報道媒体の力の誤用が、真実を歪曲し、善を蝕むことがあるという点を知りました。
ですから、私は過去数年間、多大の犠牲を甘受しながら、「ワシントン•タイムズ」を育ててきたのであり、最近、ニュース週刊誌「インサイト」を発刊し、さらに月刊誌「ワールド•アンド•アイ」を来月創刊する予定です。これらのプロジェクトは、真理や普遍的善の価値に貢献する教育やニュース、および公的情報伝達の代案的媒体となることを目的としています。
特に皆様は、「ワールド•アンド•アイ」誌に積極的に寄稿をしてくださり、持続的真理探究とその暢達(ちょうたつ)に参与なさることによって、新文化革命の旗手となってくださるよう勧告いたします。さらに、「世界平和教授アカデミー」の基盤と「パラゴンハウス出版社」の出版活動を連結して、絶対価値に立脚した学問の諸分野の専門事典の編纂を計画しています。これらのすべては、絶対価値のもとにおける、人間の本性に対する正しい洞察となり、正しい教育資料となる人間事象の大百科事典を編纂するための準備作業の一環です。
尊敬する学者の皆様。既存の矛盾する世界を、代案なしに傍観、放置しながら、自分の指導的力量と社会的責任を果たしたと言えるでしょうか。一時的な契機ではなく、神様が歴史的、世界的にお許しになったこの貴重な契機を逃すことなく、私たちは模範を示さなければなりません。私たちは万民に、不義に対する確固とした覚醒を悟らしめ、私たち自らが跳躍することによって、模範を示さなければなりません。飛躍には、冒険がつきまとうものです。逆説の基盤の上での立体的な冒険は、より大きな困難が予想されます。しかし、真理のあるところには、それに伴う実践があるものです。私たちは絶対価値を実践する勇士となって、積極的に世界を指導しなければなりません。
今回の会議が、自由討論の場から有益な結論が導き出される会議となるだけではなく、私たちの決意によって、陣痛の中で身もだえする世界をして、身ごもった新文化世界を一日も早く出産せしめるように促進する歴史的な行事となることを願います。最後に今回の会議のための準備委員会の会員の皆様の労苦に感謝しながら、参加者の皆様と皆様の御家庭に神様の祝福が臨むことを祈ります。

Friday May 27, 2022
平和経 第214話
Friday May 27, 2022
Friday May 27, 2022
12.跳躍と契機
日付:一九八五年十一月二十九日
場所:アメリカ、ヒューストン、インターコンチネンタル•ホテル
行事:第十四回「科学の統一に関する国際会議」
尊敬する議長、高名な教授、および科学者の皆様、そして紳士淑女の皆様。ここヒユーストンで、第十四回「科学の統一に関する国際会議」を開催するに当たり、この会議ならびに「絶対価値と新文化革命」と題する今会議のテーマに深い関心と支持を寄せてくださった皆様一人一人に感謝申し上げます。昨年ワシントンDCで開かれた第十三回「科学の統一に関する国際会議」に、私は参加することができませんでした。それだけに、きょうの朝、こうして皆様の前に立つことができた私の心は、格別に感慨深いものがあります。
人類の大覚醒と跳躍の必要性
周知のとおり、私はアメリカの刑務所で十三ヵ月間過ごし、今年(一九八五年)の八月二十日に出監しました。これまで私の身辺と無念な事情を御心配され、刑務所まで訪ねてこられ、ねぎらいの手紙を下さり、多くの努力と精誠を尽くして当局に嘆願をしてくださった皆様に、この場をお借りして、改めて感謝を捧げます。
私を何としても犯罪人に仕立てあげ、迫害し、投獄することに血眼だった人々は、莫大な予算と時間と労力を投入して、私の天命遂行を妨害しました。しかし、そのような反対にもかかわらず、統一運動は世界的に成功を収めています。私が収監されれば、統一教会の活動が瓦解するであろうという彼らの予測に反して、既成キリスト教の聖職者をはじめとした社会各界から、前例のない理解と支援の表明を受けてきました。このような出来事を通して「神様を中心とする正義は、迫害を受けることによって勝利する」という私の持論を改めて確認しました。
私は刑務所において、世界が深刻な危険に直面していることを、はっきりと経験し、また、全人類的な大覚醒と跳躍の必要性を痛感しました。結果的に私は、世界平和と人類の繁栄のために、私自身と統一運動が、さらに大きな犠牲を甘受してでも、先頭に立って走らなければならないという決心と緊迫感を抱いて出監したのです。
今日の世界は、驚異的な科学の発達、便利な技術、そして物質的な豊かさにもかかわらず、世界の随所で不幸な事態が続いています。国家間には絶えず緊張と戦争が継続しており、地球上の多くの所で、いまだに窮乏と貧困、文盲と疾病の困苦があり、世界の至る所の暴力と犯罪、麻薬と精神疾患、社会的不条理と不平等、青少年の淪落と家庭破綻など、数多くの問題点が地球星の未来を陰鬱なものにしています。
多くの指導者たち、とりわけ良心的な碩学たちが、幸福な理想世界を実現しようと努力してきたにもかかわらず、不安と苦悩の危機は日ごとに加重されていく、その理由は何でしょうか。その根本は、人間の精神的枯渇と道徳的、霊的危機によって引き起こされたと見なければなりません。そうして従来の価値観が、かつてないほどの速度で移り変わる現実社会を受容することができなくなり、また倫理と道徳が、その本来の機能を喪失し、善の基準も消え失せてしまいました。これらの問題の中で、個人の生活や社会全般にわたって、矛盾、葛藤、分裂が連続して引き起こされているのですから、道徳的基準や永遠性というものを、どこに立てることができるというのでしょうか。
逆説的な契機を肯定的に消化しなければならない
このような現実の中で、もし神様がいないとするなら、人間は完全な理想や幸福を永遠に期待することはできず、世界は滅びていかざるを得ないという結論に到達することになるでしょう。しかし、もし絶対なる神様がいるとすれば、現実の否定的な契機を踏み台として、一つの標準、すなわち絶対価値に向かって跳躍することによって、絶対(完全)肯定の境地に変える摂理をされるという結論を下すことができます。真の愛をもった、人間の父母であられる神様の、人間に対する否定の摂理は、破綻を目標としたものではなく、前進と飛躍のための過程的否定であり、希望的な新たなものをあらかじめ準備された上での否定なのです。
私たちは、歴史の中で多くの跳躍の契機があったのであり、現実に対する完全否定の契機と跳躍の過程を通して、超越者であられる神様に接した事例を、多々見ることができます。ありきたりの契機が跳躍の踏み台となることはまずないでしょう。先覚者たちは、逆説的な契機を肯定的に消化することによって跳躍し、驚くべき新たなものをつくり出しました。イエス様は、十字架上において完全に否定される切迫した契機を、完全肯定に変えながら跳躍される、神様の摂理を証したのであり、その結果として復活摂理の新たな一ページが開かれたのです。
私自身や統一教会は、迫害の歴史の中で、世界的な記録をもっていると思います。しかし、そうした迫害は、統一教会にとって必ずしも悪いものではありませんでした。無念の苦難にもめげず、むしろこれを契機に跳躍し、神様のみ旨に従って生きるならば、苦難それ自体は絶対者を中心とした永生の準備となるでしょう。そのように見るとき、私たちは、今日の現実に対して絶望とばかり見るのではなく、神様が私たちに新しい文化世界へと飛躍する契機を与えようとなさっていると解釈しなければなりません。
人間が科学を発達させた究極の動機は、人類の平和と繁栄の実現にありましたが、専門化された科学の具体的方法は、当初の価値的方向と一致できませんでした。人間の科学に対する期待は、主体である人間の福利でしたが、科学の成果は、人間の対象である物質的環境の開発が大部分だったと思います。したがって、機械技術による物質的生活の向上を試みた科学や政治、経済的平等の理論が、人類の真の幸福を保障することは難しくなったので、科学者たちは、もう一つの使命を自覚しなければならない、という結論が導かれるのです。科学時代に生きている現代人は、人間の内面性の洞察を通して、絶対秩序を根本にした新しい倫理的標準を確立することを強調しています。その新しい倫理は、自然を愛し、人間の価値を再検討し、人間相互間の愛、そしてその愛の根本である神様を探すように、私たちに求めています。学者たちは、外的な科学技術革命とともに、人間の完成と平和世界の理想を成就する文化革命、精神革命を成し遂げる課題を抱えているのです。

Wednesday May 25, 2022
平和経 第213話
Wednesday May 25, 2022
Wednesday May 25, 2022
11.絶対価値と新しい文化革命
日付:一九八四年九月三日
場所:アメリカ、ワシントンDC、マリオット•ホテル
行事:第十三回「科学の統一に関する国際会議」
尊敬する議長、著名な教授、学者、そして紳士淑女の皆様。私は、第十三回「科学の統一に関する国際会議(ICUS)」に御参加いただいた皆様に、深い感謝の意を表します。直接お会いすることはできませんが、私の心は皆様と共にあります。十三年間、私はこの著名な学者たちの会議で演説をする中で、全世界的な状況と問題を解決すべき科学と学界の責任に関する疑問を提起してきました。
私の演説の中で扱った内容は、毎年多様に変わりながらも、その基礎となるテーマの焦点は変わることがありませんでした。その焦点には二つの核心があります。一つは、一般的に科学と知識の統一の必要性を強調することであり、もう一つは、科学は絶対価値と人類の福祉を保障するという目標によって導かれるべきであるということを強調することです。
神様は、宗教的真理の根源であるだけでなく、科学的真理の根源でもあります。神様は、最初の説教者であると同時に、最初の科学者でもあります。私はこの事実が宇宙の根本真理であると固く信じており、私の人生の課業は、そのような前提に基づいたものでした。私は、生きておられる神様の使徒として、全被造世界に、実体的にも、霊的にも明らかに現れておられる神様の本質的な存在のすべての面を、より一層広く、深く、また明確にし、統一させることを試みてきました。人間存在の物質的福利を増進させようという欲望とともに、その人生の意味を探求するということは、私が十六歳(数え)の時にこの道を出発して以来、様々な障害を越えながら、全生涯をかけて課業を成し遂げる、その背後の動機的な力となってきました。現在、知識を追求する中にあって最大の悲劇の一つは、学問分野が分裂しているということです。機械を分解するように、科学と知識を部分ごとに細かく専門化するということは、究極的には、全体的な機能を麻痺させることであり、科学をしてその使命を成就できなくさせてしまうのです。
私たちがどう考えようと世界は一つです。ある分野が他の分野よりも、ある事実に関して完全な見解をもっているといった考えや、異なった分野における発見や発展は互いに関連性がないという考えは誤ったものです。科学や学問のあらゆる分野は、互いに絡み合っています。すなわち、各分野はそれぞれ特異性をもってはいますが、実際は、全体における部分的な見解にすぎないのです。すべての研究分野が、事実に関する統合された見解を形成するために、共に研究するということは、人類の全体的な進歩や幸福にとって有益なことです。しかし、私が申し上げた科学と学問の統一に関する見解というものは、すべての知識を単に一つの学問分野に縮小させよということを意味するのではありません。それは、究極的目標に基づいた統一を意味するのです。
科学には多くの分野がありますが、そのすべては人間の幸福実現を追求しています。今日の学問は、細分化されてばらばらになっているという問題に直面していますが、より重大な脅威ゆえに、私たちは、「絶対価値の探求」という、この「科学の統一に関する国際会議」でずっと取り扱ってきたテーマに関心を向けざるを得ません。ほとんどの科学者と学者たちが、平和と繁栄を実現しようという切実な熱望をもってたゆまぬ努力を続けてきたにもかかわらず、貧困と文盲、疾病と分裂と戦争は、先進諸国でもいまだになくなっていません。科学と技術は非常に発展しましたが、人類は、悲しみと苦痛と貧困によって苦しみ続けているのです。多くの指導者たちは、このような不幸を取り除き、真の平和と安定を実現しようと努力していますが、世界では平和に対する形ばかりの約束が繰り返されているだけです。民主的資本主義や共産主義的社会主義のいずれも、世界の問題を解決することができずにいます。どちらも、世俗的人本主義をして人間存在を唯物論に陥らせ、生命の価値を落としてしまいました。いわゆる自由世界といわれる体制は、その無気力と方向性の喪失によって、このような状況をもたらし、共産世界は唯物論という理念体系によってこのような事態を引き起こしました。
目的喪失の状態が全世界に広がり、混乱をより一層加重させています。なぜこのような状況が起きるようになったのでしょうか。その主要な原因は、人間の行為を規制する価値基準が徐々に弱まったからです。倫理と道徳がその力を失ったために、善の基準というものが、ほとんどなくなってしまったのです。このような力の喪失の原因は、部分的には科学の基盤が誤った方向へと引っ張られたことにあります。
価値中立的であろうとするあまり、科学はその発展過程において、人間性と道徳的価値に関する問題を除外してきました。科学は次第に分化し、各分野はより一層専門化され、分析的、物質的になり、道徳と価値に関する問題については顧みなくなりました。その結果、人間の科学に対する支配が、この地球星において誰も人間の運命を確信することのできない状況にまで弱まってしまったのです。
価値と道徳を喪失するようになった、もう一つの理由は、過去の価値と道徳の基準では、現代の有識者たちをこれ以上満足させることができないということです。新しく妥当な道徳と倫理は、現代人にとって明確で適応し得る新しい価値基準に由来すべきです。その基準はひとえに、過去や現在の世俗的、または宗教的な思想を統合することのできる、超越的で統一された思想体系から引き出されるのです。
私は長年、宗教と哲学と科学が追求しなければならない目標に対して関心をもってきました。既に申し上げたとおり、私が主導してきたこの会議は、正にこのような関心から始まったものです。宗教が形而上学的なものや道徳的な問題に関連する反面、科学は空間と時間における自然法則とエネルギーと運動との間の変化に対する理解にとどまっています。科学が、過去数百年にわたって知識の驚くべき発展に貢献したことは事実です。しかし、それを導くことのできる価値基準をもてなかった科学は、世界を破壊へと導くこともあり得るのです。神学から科学に至るまでのすべての範囲における知識は、それらを正しく導くことのできる、認識された目標や価値基準なしには無意味だというのが私の見解です。私は、このような価値の方向と基準は、ひとえに神様を中心とした宗教から始まると信じています。これは、数多くの偉大な科学者たちの哲学的な著述が知られている科学界においては、さほど驚くことではありません。
私は、「科学の統一に関する国際会議」で行った演説を通して、「統一神学」と「統一思想」こそが、神様を中心とした、統一された新しい思想体系の基礎になるものであると宣言してきました。この理念によると、人間は存在自体として価値を所有しようとする本性をもっています。そして、人間は、神様との間に、親子という唯一の関係をもつようになっているのです。したがって、すべての人は、真の愛の関係を確立しようとする神様の創造目的に立脚した明確な価値観をもって人生を生きていくように創造されたのです。そこで私は、私たちの追求する絶対価値は、神様の絶対的な真の愛に基づいているという事実を提案しようと思います。
絶対的な美、真、善とは、正に真の愛の基盤の上で形成されているのです。すべての科学者と学者が、道徳的価値に対する確固たる見解の基盤の上に、各々の分野を発展させ、物質的で分析的な方法だけでなく、精神的で統一的な方法も採択することによって、人間の尊厳性を高めることを、私は切に願うものです。世界の問題に対する解決は、このような人間存在に対する全般的なアプローチによってのみ可能になるのです。断片的なアプローチの姿勢とその理想との衝突よりは、集合的な知恵と知識を中心とした調和の取れた努力が、この会議にお集まりになった著名な学者の皆様に求められているのです。私はこの会議が、神様が世界をおつくりになられた時に実現しようとされた理想のために寄与することを心より願います。皆様の努力が、真の愛と善と平和と幸福の世界を成し遂げる、新しい文化革命の実現に、必ず貢献することを願います。

Tuesday May 24, 2022
平和経 第212話
Tuesday May 24, 2022
Tuesday May 24, 2022
韓国で世界大会を開催する理由
それでは、私がなぜ皆様を韓国にお招きして、勝共国民大会と共に、第一回「世界平和教授アカデミー」世界大会を開催したか、ということについて、若干の説明をいたします。
第一に、韓国は、昔から地政学的に大陸と海洋の橋頭堡である半島国家で、強大国の勢力拡大のための要衝となって、歴史的な犠牲を払ってきました。現代でも、東西両陣営の要衝であり、ソ連と北朝鮮の侵略の野望によって真っ先に試練を受ける立場に立っている国です。韓国は共産主義の犠牲となるか、自由世界の一員として生き残れるかの岐路に立つ、世界的な試験台の上に置かれている国です。私は、このような韓国の状況を神様の摂理的観点から、世界と歴史の縮小体として見ています。
ですから、すべての歴史的関係と世界的問題が直接•間接的にここに連結されており、したがってここでの問題解決は、すなわち全体解決であると考えます。今回このように世界の碩学たちが集まって発表する決議や宣布は、すなわち皆様の国と世界全体と関連するものなので、世界的な関心事となり、世界的に波及する影響力をもつようになります。
第二に、韓民族は、約五千年の悠久なる歴史をもった文化民族であり、早くから敬天思想を信奉し、豊かな精神的生活をしてきました。私たちの先祖は、仏教と儒教を受け入れ、その文化を燦然(さんぜん)と花咲かせ、長くはないキリスト教伝来の歴史にもかかわらず、今日名実共に世界を代表する篤実なキリスト教国家となりました。
それだけではなく、この様々な高等宗教は、民族の精神文化の中に溶け込み、調和して、善の影響を及ぼしており、現実においても、この地は諸宗教が共存している特異な様相を見せています。本来、敬天思想が強い韓民族の本性を考えれば、無神論の共産主義が韓半島に根を下ろすようにはなっていなかったと思います。神様が生きていらっしゃるならば、韓民族を立てて、共産世界を打破する模範を世界に見せることと私は確信しています。
第三に、韓民族はその気質が活動的であり、奇抜であり、義に酔い、積極的に行動します。韓民族が一般的に時代観と歴史の発展推移に鋭敏な反応を見せるのも、この気質のゆえです。韓民族が一旦「共産主義は悪い」ということが分かれば、直ちに実践し、行動に移すようになるので、実践的な勝共活動は世界を指導する標本運動となるでしょう。
第四に、韓国は東西文化の交流の接合点です。既に皆様も御存じのように、多くの碩学たちが西洋文明の未来を悲観的に予測しており、これに対する解決方案として、新しい宇宙的、精神的一大転機が到来することを待ち望んでいます。西欧社会が東洋に対して徐々に多大な関心をもつようになり、東洋精神や東洋宗教に心酔するのも、東西文化の調和統一が成就されることを予告しているものと言えるでしょう。
平和理想実現の障害要因である無神論共産主義
東洋で生まれたレバレンド•ムーンが動機となり、中心となって、世界の碩学たちが人類平和と理想世界の創建のために、「世界平和教授アカデミー」を組織し、「科学の統一に関する国際会議」を開催し、学界に新しい転機をもたらすことは、過去の歴史になかったことであり、新しい文化が胎動する歴史的な壮挙だと言えるでしょう。
神様を父母とする「世界は一家庭、人類は一兄弟」という理想から見れば、東洋と西洋の最短距離の調和統一体は、宗教思想を中心としてのみ可能です。
「世界平和教授アカデミー」が本当に世界平和を目標とし、学問的な良心と知性を尽くしてこの目標を成就することを願うならば、私たちには再覚醒と再決意が必要だと思います。真の人類平和というものは、価値観の異なる人間相互間の平面的関係の改善だけでは得られるものではありません。神様を求心点とした絶対価値のもとにだけ真の平和世界を見いだすことができるのです。
この平和理想実現に対する根本的な障害要素は、無神論的共産主義です。私は、資本主義も神様が願われる主義ではないことをはっきりと教えています。しかし、共産主義は、神様の存在自体を否定しているので、「神主義」の前に一次的な障害となるのです。
私は、以前にシカゴで開催された「科学の統一に関する国際会義」の際、共産思想を学者たちが積極的に防がなければならないと既に宣布いたしました。ある人は、皆様に対する私の宣布と勧告があまりにも強い表現であると言うかもしれません。流れる時間の中で、きのうときょうが同じように繰り返されますが、歴史と摂理の中においては節があり、重要な転機があります。いつも繰り返されているような時間ではなく、決定的な意味をもって決断を下す時があるのです。今が正にその時です。私は人類の将来に対して深く感じることがあって、このように勧告をするのです。
急を要する明確な価値観による後進養成教育
皆様が後援する韓国における今回の勝共国民大会は、皆様の祖国と自由世界の至る所で行われなければならない標本となる大会です。自由世界の指導者たちが共産主義に対して決断を下し得ず、優柔不断であるならば、世界制覇の野望をもつ共産主義の膨張運動は防ぐことができません。特に教授の皆様が、一時的な安逸や一身の無事を願うがゆえに、正しいものと間違ったものを区別して積極的に証し得ないとすれば、若者たちの将来を誰に期待すればよいのでしょうか。教授の皆様の断固たる決心と明確な価値観による後進養成教育こそが、この時代の要請であるばかりでなく、教える者の基本姿勢でもあります。この点で、宗教指導者と教授には共通点があると思います。というのも、私たちは、知識を伝達し、また研究結果を教育するだけではなく、人生について責任をもって教えなければならないからです。
きょう、この場にお集まりの七十二ヵ国の代表の皆様。世界平和のための「世界平和教授アカデミー」の歴史的目標を達成しようという確固たる決意と、また有神論に立脚した献身的な信念は、皆様の国のみならず、勝共の世界的な民間連合基盤を構築する決定的な契機になると私は確信する次第です。
皆様の国と皆様の御家庭に、神様の祝福が共にあることをお祈りしながら、私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。

Saturday May 21, 2022
平和経 第211話
Saturday May 21, 2022
Saturday May 21, 2022
10.世界平和教授アカデミーと私たちの決意
日付:一九八三年十二月十八日
場所:韓国、ソウル、リトル•エンジェルス芸術会館
行事:第一回「世界平和教授アカデミー世界大会」
尊敬する世界大会議長、「世界平和教授アカデミー」の七十二ヵ国の議長団の皆様、そして韓国の「世界平和教授アカデミー」会員教授の皆様。きょう、この意義深い「世界平和教授アカデミー」世界大会において、これまで私が抱いてきた所信の一端を表明できますことを、誠にうれしく思う次第です。
「世界平和教授アカデミー」の究極の目標
きょう、この場に外国から来られた多数の議長団の皆様は、去る十一月末にシカゴで開催された「科学の統一に関する国際会議」を終え、お別れしてからほんの数日もたっていないときに、突然の通達により、それも一週間のうちに集まってくださるように連絡を差し上げたにもかかわらず、六大州から駆けつけてくださいました。既にあった御計画や年末の忙しいスケジユールを取り消され、私の招待に応じてくださったことに対し、心から感謝を捧げます。
常識的には理解し難い招待を受け、難しい条件を乗り越えて集まってこられた皆様の今回の大会が、歴史的なものであり、摂理的な意味があることを、徐々にお分かりになるでしょう。
私は、歴史を収拾し、人類の理想を実現するために、学者たちの研究業績と良心的な決断、そして人類を先導する先駆者的な実践が非常に重要であるということを当初から考えてきました。そうして、一九六八年、困難な教会運営にもかかわらず、「国際文化財団」を創立し、一九七二年から「科学の統一に関する国際会議」を毎年開催してきています。
このような大会は、個人や宗教団体で主催するものではなく、国家主権の後援のもとに開かれなければならないものです。しかし、誰もこの点に関心を向ける人がいないため、最初に思い立った私自身が実践しなければならないという信念で、国際会議を開催したのです。そして、今年は「世界平和教授アカデミー」がここ韓国で創立されて十周年を迎える年でもあります。
今日、人類は数多くの危険を抱えています。その中で最も深刻な問題は、人類が正しい価値観を確立し得ず、思想的な対決と混沌の中で、世界大戦の可能性と核の恐怖に直面しているということです。
このような脅威は、人間の心霊を正しく導いていくべき宗教が本来の責任を果たし得ずにいる間に、様々な政治的、経済的欲求を中心とした体制やグループが、科学的知識を誤用したことにより、より一層加速化されています。このような脅威は、人類文明それ自体を根本から危うくしています。
地域を超越した相互協力と共同研究
私は「世界平和教授アカデミー」が、人間の英知を啓発するために一生を捧げて尽力してきた有識者の皆様によって、この危機の時代を転換させ、世界平和の根源を模索する牽引車のような機構になることを願いながら、これを創立したのです。
「世界平和教授アカデミー」の究極の目標は、平和と繁栄のための新しい理念と方法論を研究しようとする勇気ある学者たちの献身的な努力によって、正義と調和と秩序の世界を創造することです。
また、「世界平和教授アカデミー」は、今日の時代において危機意識をもっている学者や指導者に、人類が直面している最も根本的な問題を検討するのに必要な資料を提供しなければならないと思います。
皆様が既に御存じのように、十二回にわたる「科学の統一に関する国際会議」を行ってきたその背後には、容易なことばかりがあったわけではありません。莫大な財政負担は言うまでもなく、このような意義あることをしながらも、多くの嫉妬と誤解と耐え難い迫害も受けました。最近において、皆様をはじめとして、多くの碩学たちが積極的に呼応して、世界が段々と私の動機に理解を一層深めてくださっていることは、私にとっては大きな慰めです。
歴史的に人類は平和を念願してきましたが、この地上には依然として戦争が存続しています。不幸にも強大国や権力者たちは、「平和」という言葉をたびたび誤用してきました。彼らは平和をうんぬんしながらも、実際には内面的にも外面的にも、人々を平和でないものによって苦しめてきました。特に共産主義者たちは、挑発を事としながら、「平和」という言葉を口癖のように使ってきました。このように「平和」という言葉は、多くの場合において、ただ不義を実現する手段として利用されてきたのです。
真の平和は、知識や富、そして社会的な地位や政治的権力のような外的条件によるものではありません。この世では、世界的関心事を公平に判断する絶対的基準がないので、変化していく世界の中で衝突する利害関係に縛られ、真の平和の維持は不可能なのです。真の平和は、ただ真の愛の基盤の上に立ち得るものであり、愛の関係は、人類を一つに結びつける、神様を中心とした絶対価値を理解するときにこそ、体験するのです。
私の考えでは、「世界平和教授アカデミー」はその目指す目標から見て、国際的、汎専門的でなければならず、また未来指向的、実践的知性の機構にならなければならないと思います。今世紀の人類が直面している諸問題を解決するためには、ある一分野だけで、または局地的処方だけでは解決不可能です。国家や地域を超越した相互協力と専門を超越した共同研究が絶対的に要請されているのです。
今日の学問は全般的に専門化されており、その課題もまた広大で、特定の学者やある学問分野のもとだけに一元化することはできません。問題解決のためには、多様な訓練を積んだ専門家たちの協力を通じたアプローチが求められ、そのアプローチもまた、個人的次元ではなく、全体的、宇宙的な均衡を取ってしなければならないので、そのための組織的機構や有効な運営は容易なことではありません。
それのみならず、没価値的な方法論が、学問研究の基準であるように認識されてくる間に、研究の結果が多くの場合において、より大きな上位の目的や善の意志に反して、策略家たちに利用され、人類の悲劇を招きました。このような不条理を解決するために、私は絶対価値を中心テーマとした「科学の統一に関する国際会議」で、その代案を求めようと努力しているのです。
平和実現のための「世界平和教授アカデミー」の実践方法
絶対価値はもろもろの価値の基準となるので、すべての学問の中心点になります。もしも専門化された学問が没価値的な方法によってのみ研究され、また人によってその価値基準が異なる場合、人類の本性が願う共同理想を実現する基準は、どこから見いだすことができるのでしょうか。また、人類は真の生き甲斐と価値性の保障をどこから受けることができるのでしょうか。
例えば、自由について考えると価値基準の異なる個人相互間、あるいは社会や国家などの体制相互間においてぶつかり合う矛盾、すなわち自由の陰でもたらされる不公平な犠牲は、どこでその補償を受けることができるというのでしょうか。
善を指向する人類の本性を見ても、絶対善の基準が求められていると言えるでしょう。また世界は次第に一日生活圏に縮小され、地球村を築きつつあり、人類が宗教や人種、国籍を越えて緊密に協力し、調和せずにはいられない歴史的な趨勢から見ても、絶対価値の基準は打ち立てられなければなりません。
世界が抱えている問題を克服するためには、多くの指導者が必要です。私は、「世界平和教授アカデミー」の会員である全世界の教授の皆様が、受動的ではなく能動的な、人類の理想の研究と実現に、積極的に参与してくださることを望んでやみません。ですから、「世界平和教授アカデミー」は、研究のみならず、世界福祉のために実践し、その手本を示す機構とならなければなりません。
この点において、他の様々な学者の集まりとは異なると思います。すべての会員は、学生たちを積極的に支援するだけではなく、社会世論に影響を与え、歴史を引っ張っていかなければならないと思います。
私たちは、非暴力的な態度で、それでいて所信をもって、この時代の最も難しく複雑な哲学的、社会的課題として人類が直面している未解決の問題を解決することに心酔し、献身的でなければなりません。「世界平和教授アカデミー」の目標である平和の実現は、理想と理論の基準においてではなく、実践的方法によって到達される目標です。
私は、「国際文化財団」と「世界平和教授アカデミー」の基盤を通した世界大学連盟の理想を抱いてきました。今や実現する段階となり、六大州に少なくとも七十の総合大学を順次に設立し、高い次元で若い世代を育成、指導するでしょう。大学相互間の交換教授制度、交換学生制度、協同研究などを通して、体系性を帯びた教育により、人類が一つの兄弟となる平和世界の理想を実現しようと思う次第です。
そして、「国際文化財団」のシニア•コンサルタントたちには、絶対価値に立脚した大百科事典の編纂計画を既に発表したところであります。現在、権威ある大百科事典がないわけではありませんが、一貫した価値観に立脚して集大成された新しい大百科事典は、後進のための絶対的な要請なのです。私の考えでは、十年以上の時間が必要だと思いますが、全世界の「世界平和教授アカデミー」の会員たちが動員され、この歴史的な作業が成就されなければならないと思います。
それだけではなく、生活を通した大衆教育のために、世界的な新しい月刊雑誌を一九八五年一月から刊行する予定で、既にその準備作業が始まっています。一千ページ以上の膨大な内容が収録されるこの雑誌は、一度見て投げ棄てるような内容ではなく、生活全般にわたって知性の泉となる指針書であり、生活の教育書になるものと期待しています。
また、良書を大量に出版し、人類社会を底辺から教育する計画を立てました。本の質や内容よりも収益性のほうに焦点を合わせている出版界の現実ゆえに、良い本が出版される機会が少なくなっています。数年間は膨大な出血をしたとしても、今後十年間に最低三千巻の本を出版する予定であり、既にその作業が始まっています。

Saturday May 14, 2022
平和経 第210話
Saturday May 14, 2022
Saturday May 14, 2022
共産主義の戦略戦術を克服すべき
このように、当初からレバレンド•ムーンと統一運動は、宗教の領域だけでなく、政治、経済、文化、科学、技術、言論、教育の領域で、途方もない誤解と非難、迫害と試練に耐えてきました。私たちは一般大衆と為政者から社会全般にわたって、反対と迫害を受けてきました。
ある意味では、全世界のすべての人々に、直接、または間接的に統一運動の運命に対して責任があります。しかし、世界的な反対は、特に共産主義者たちによって利用されてきました。共産主義者たちの標的には、いかなるものにも、レバレンド•ムーンの名前がついています。
これまで、ほとんどの人たちが、統一運動について正しく理解することは非常に困難でした。人々が私たちに関して見聞きすることのほとんどは、反対者たちが数年間、吹聴してきたうそと扇動的な非難でした。統一運動とレバレンド•ムーンに関して、人々が信じやすいのは、ただ単に、昔、捏造された流言飛語の繰り返しにすぎない言葉でした。
「うそも百回繰り返せば真実となる」というレーニンの教えに従い、共産主義者たちは人々に確信を与えるために、同じ偽りのうわさを繰り返し続けてきました。例えば、過去十二年間、日本共産党は彼らの宣伝機関紙である「赤旗」と彼らの出版物二十六億枚の反統一運動の記事を印刷しました。それは日本の国民一人当たり十六枚に相当する悪意に満ちた宣伝でした。
これは私たちの運動を破壊しようとする共産主義者たちの陰謀の中の一つにすぎません。反統一運動の宣伝は、中国、北朝鮮、東ドイツ、ソ連、キューバ、ニカラグア、リビアとその他の国々からも絶えず流れ続けています。このような偽りの宣伝は、公務員、政府指導者、知識人、宗教指導者、言論媒体と一般大衆に浸透しています。そうして、人々が歪曲された内容を数えきれないほど聞くようになり、結局、それが事実であると信じるようになるのです。
しかし、最も下品で卑しい行為は、統一運動に参加している人に対して非人間的処置を行う、いわゆる「ディプログラミング(脱洗脳)」というものです。それは共産主義者が協力していることは明らかです。人権の擁護者である裁判官と裁判所は、しばしば基本的な宗教の自由の権利を侵害することに協力することがあります。皮肉なことに、その権利の侵害は、人権と宗教の自由を最も声高に叫ぶ国家で発生しているのです。
ディプログラミングに使われる方法は、共産主義の政治犯の収容所で施行される方法と同じです。ディプログラマーたちは、少数派宗教の信仰をもつ人を監禁するために、親や親戚を利用して精神病院に委託したりもしました。その他の典型的なディプログラミングの手段としては、拉致、不法監禁、暴力、精神的な脅迫、睡眠妨害、アルコールと麻薬使用への誘引、性的誘惑と強姦などが含まれています。
このような脅迫と嫌がらせ、手練手管(てれんてくだ)により、職業的ディプログラマーたちは信仰を捨てるように強要します。多くの人々が、このような犯罪行為によって、肉体的にも、精神的にも傷つくようになります。
私の愛する多くの人々が、その信仰と理想ゆえに苦痛に遭うのを見るときに感じる私の深い悲しみを、皆様は想像すらできないでしょう。信じられないことに、ディプログラマーたちは、自分たちの行っている方法を私たちが使っていると言って非難しています。皆様は、なぜ共産主義者たちがレバレンド•ムーンと統一運動に対して、そのように敵意と恐れを抱いており、なぜ彼らがそのように命懸けで私たちを破壊しようとするのか、不思議に思われるでしょう。
皆様も御存じのように、共産主義の究極的目的は、無神論的唯物論の旗のもとに、全世界を征服し、共産党独裁を実現することです。実際に、労働価値説、剰余価値説、弁証法的唯物論、史的唯物論のようなマルクス理論は、真理と正反対であり、暴力革命を正当化するために主張されたものです。今まで、共産主義の恐るべき実体を克服できるものが何一つとして存在しませんでした。
「統一思想」は共産主義を克服する実体的基盤
しかし、「統一思想」は共産主義の虚構を暴露しています。彼らはこのような事実を知っているので、統一主義を根源的に根絶しようとしているのです。共産主義者たちは、自分たちの正体を暴露するすべてのものに対して恐れを抱いています。
これまで無知ゆえに数百万の人々が共産主義に利用され、無慈悲に虐殺されてきました。少数の人々だけが勇気をもって戦いましたが、理念と組織の力が弱かったために、彼らは孤立し、弱まり、簡単に敗れました。
今日、数億の人類が絶望の涙を流しながら、共産主義からの解放を待ち望んでいます。私は、三年近くの間、金日成独裁下にある北朝鮮の思想犯収容所で過ごしました。彼らは私をそこに投獄し、命を奪おうとしました。しかし、私は生き残り、結局、国連軍によって自由の身となりました。その時から、私の生涯の使命は、共産主義よりも優れ、共産主義から世界を解放できる絶対的真理をいかにして樹立するか、ということに集中してきました。
今や、私が目撃したその犯罪の数々に関して、明確に話すことができます。私は、共産主義に対して批判し、闘い、共産主義を克服するための実体的基盤をもっています。
以上のことから、皆様は、なぜ共産主義者たちがレバレンド•ムーンとその組織を恐れるかということについて理解できるでしょう。共産主義者たちにとって非常に理解し難いのは、なぜレバレンド•ムーンの運動は、あらゆる反対と迫害と中傷にもかかわらず、成功裏に成長し続けているのかということです。例えば、「国際勝共連合」の会員は、日本に三百五十万人以上います。
第一に、共産主義者たちは、神様が生きておられることと実際に統一運動の背後で神様が働いておられることを悟れずにいます。第二に、彼らは、宗教の真の本質を理解できず、また人間の本心は、ただ神様の真理と愛によってのみ、本当の満足を感じるという事実を理解できずにいます。最後に、彼らは、霊的な世界とこの宇宙を統治する神様の法が、弁証法的唯物論によって動くものではないことを悟れずにいるのです。
統一運動は、宇宙の根本的真理に基づいた深い宗教的体験と鍛錬によって触発され、裏づけられています。ですから、私たちは世界と人類の本心を動かすことができるのです。統一運動に参加する会員は、許すということを知るようになりました。彼らは、自分を迫害した人々を恨むのではなく、むしろ迫害と試練を霊的成長の糧として受け入れています。簡単に言えば、統一運動の真の会員は、いかなる反対にも屈せずに推進する力と揺らぐことのない信仰をもっています。これは、既に私たちが確固たる世界的基盤を確立したという事実から証明されているのです。
世界の各地に新文化革命の火を燃やそう
レバレント・ムーンと統一運動は、神様と人類のための生死をかけた重大な使命を担っています。しかし、この使命は、統一運動の独占物ではありません。この運動の会員たちは、良心的で理想を抱いたすべての人々と共に、新しい文化革命の隊列で働くことを願っています。自由世界の人々、特にキリスト教徒をはじめとした宗教者たちはみな、統一運動の偉大な友とならなければなりません。悲惨にも彼らは、共産主義者たちの戦略に対して無知であり、友と敵とを区別することができませんでした。結果的に彼らは、たびたび自分の真の友を攻撃し、破壊してきました。
しかし、最近の状況は変わりつつあります。人々は共産主義の不義と威嚇に対し、憤慨するようになりました。最近の事件は、共産主義者たちが初めから使ってきた戦略と戦術を明確に暴露しています。自由世界と宗教の未来に関して、より一層憂慮するようになった良心的な学者、経済人、宗教指導者が、統一主義の普遍的な旗のもとに集まり始めました。また人々は、道徳的退廃と闘うその力と共産主義に対抗するその潜在力のゆえに、統一理念に魅力を感じるようになりました。
今日、皆様は、私と共同の運命に直面しています。共産主義から学問世界を保護し、歴史がこの時代の私たちに与えた課題を成し遂げるために共に働きましょう。私と統一運動の会員たちは、この実に困難な課題にぶつかることを決意しました。全世界の学者たちは、きょうから各分野で指導力をもつために合流しましょう。
共産主義者側では、マルクス主義の学者たちが、学生とキャンパス活動を指導することによって指導力を行使しています。彼らは労働階級および少数民族の組織者たちと提携し、究極的には人間の真の幸福を破壊することになる途方もない理念的、社会的戦線を構築しました。したがって私たちは、教授と学生の責任ある協力を通し、組織的で社会的な基盤を、一刻も早く確立しなければなりません。
私は、この悪の世界では、正義を擁護する人が、何らかの実質的基盤をもてなければ簡単に除去されることを骨身にしみて悟らされました。したがって、学者と学生の連合戦線とともに、キリスト教徒をはじめとしたすべての宗教の信仰者たちは、共に働かなければなりません。
このような、歴史で最も重要な時代に生きている私たちは、生死の岐路に立たされています。私は、皆様が大志を抱いた義の学者、教育者として、世界に実質的で建設的な変化を起こすことを熱望しています。人生のすべての領域を包容する、統一された戦線で共に働きましょう。そして、歴史の頂点に立って、世界の各地に新文化革命の火を燃やしましょう。
神様のあふれんばかりの恩賜が皆様の国と皆様の御家庭、そして皆様と共にあることを願います。神様がこの第十二回「科学の統一に関する国際会議」総会における皆様の討論を、お導きくださることをお祈りします。ありがとうございました。